9月27日から10月1日の5日間、オーストリア、トリトール軍需工場跡地においてミッションレジネステスト(国際出動適正テスト)が開催されました。
通称「MRT」と呼ばれるこのテストは、実働する救助犬とハンドラーにとって、最難関のテストです。
合格すると2年間、INSARAG(国際捜索・救助諮問グループ)のもと、世界の災害地において活動を行うことが出来ます。
RDTAではこれまでに日本で唯一、民間で2008年より8頭の合格犬を輩出しています。
受験するには、まずハンドラーの救命士の資格やINSARAGの知識を問われる資格、また犬の救命救護知識が必要で、救助犬はIRO瓦礫B段階合格が必要になります。
試験内容は、5日間、試験会場脇に野営をして、昼夜問わず、呼び出しがかかったら、1捜索制限時間20分間、合計9捜索、全部で20数名の被災者を捜索します。
合格するためには最低限70%以上の被災者を発見しなくてはいけないのですが、それだけではなく、ハンドラーの情報収集力や状況把握能力、危険回避能力、また犬とのコンビネーション、作業している犬への観察力、ハンドラー、救助犬ともに俊敏性や体力、服装や装備品など実働に欠かせないいろいろなものが審査されます。非常に高いレベルの能力とタフさが求められる試験です。
今年もヨーロッパ各国は勿論、アルゼンチン、メキシコ、台湾、そして日本と世界各地より36組が受験しました。
RDTAからは、MRT初受験、溝辺秀子ハンドラーとレイ号(シェパード・雄・4歳)、オーストリアで1歳まで訓練を受けたカイ号(マリノア・雄・7歳)とMRTは3回目、村山健太ハンドラー、そしてMRTは6回目、昨年に引き続きエンゾウ号(マリノア・雄・7歳半)と大島かおり(筆跡者)の3組が受験、また評価員として村瀬理事長が参加しました。
結果、エンゾウ号と大島は、昨年指摘されたハンドラーミスを猛省し、「被災者に寄り添う、そしてどのような場合でも悔いは絶対に残さないように」を頭において挑み合格、15年越しの目標を達成し一つの節目を迎えることが出来ました。
そして通訳を付けず翻訳機で奮闘した溝部&レイ、捜索中に負傷し2日後にリカバリーして試験を続けた村山&カイ号(村山ペアは合格点に0.06という僅差)は残念ながら合格に至らず、次の受験に思いを馳せることとなりました。
RDTAではこのMRTのナショナル版(国内)MRTを2024年秋に長野県八ヶ岳国際救助犬センターで開催するべく準備をして進めております。MRTを審査する国際救助犬評価員2名(村瀬英博、大島かおり)に続き、今年度10月に国内救助犬評価員5名(坂本幸子、溝部秀子、村瀬真平、藤野亜矢、斎藤真由美)がIRO(国際救助犬連盟)より認定されました。
評価員として、または受験者としてMRTを通して、次世代の救助犬、そしてハンドラーの育成し、実災害での一助となれるよう努力していく所存です。
最後になりましたが、毎回変わらずRDTAチームへ100%、それ以上のサポートをしてくださるMagdalenaさん、Peter氏はじめウィーン消防救助犬チーム(SKV-KHD)の皆様に深く感謝致します。
ありがとうございました。
※筆跡者:大島かおり