27th IRO World Championship への参加

 2023年9月20~24日 4年間待ち続けた晴れの舞台、救助犬の世界大会が開催された。FL66頭 T66頭 F17頭 合計149頭がオーストリアのStubenberg(シュウトゥーベンゲルグ)に集まった。

 私とジャイアントシュナウザーの文次郎(呼び名ブー)は、T(瓦礫捜索部門)に出場、捜索157点 服従93点 計250点獲得 第10位と言う成績を残す事が出来た。

 私の愛犬「ブー」は世界大会は2度目のチャレンジに成る、前回は2018年スロベニアで開催され4歳と8ヶ月で出場、勿論合格したが、まだ漲る力を犬自身がどう使えば良いのか分かっていなかった。翌年、2019年 フランス大会の後「コロナ感染防止策」により世界大会が中止になった。審査員としての渡航も許されずセミナーや国際会議なども全てオンラインで行われた。

 犬にとっての5年は長く又、人よりも歳を取るのが早い「ブー」のピークはコロナ禍の中で迎えていた。今年の12月で10歳に成る彼は、服従や捜索作業の完成度は高く国内では彼を超える犬はいないが世界大会となると中々そうは行かない。今年優勝したスペインのマリノアは、捜索作業で満点、200点を獲得していて、同じスペインチームのもう一頭もやはりマリノア、198点と高得点を獲得している、どちらも6歳と油の乗り切った勢い溢れる犬だ、一昨年コロナ禍のやや弱まったチャンスを見計らい評価員セミナーに参加、その数日後試験の審査も引き受け久し振りにヨーロッパの犬達を見る機会があった、その時にこのスペインの犬を審査しその凄さに衝撃を受け「自分も頑張らねば」と強く刺激された事を思い出す。

 日本は島国で、気軽に国境を越え他の国の試験を受けに行く事や合同訓練等が簡単に出来ないのだが出来る限り積極的にチャンスを作りチャレンジする事で、強くてスタミナの有るタフな捜索犬を作って行かなければならない。因みに広域捜索の優勝者は、同じアジアから出場した韓国の「李さん」だ、彼は日本で何度も審査をしてくれて居る親しみ深い人だ、彼の努力と情熱を、私達も見習い高く賞賛し学で行かないといといけないと強く思った。

 救助犬を深く理解し1日でも早く世界チャンピオンを作出する必要が日本には有る、世界一の地震大国に良い救助犬が不可欠なのにも関わらず国内基準も無く多くの救助犬団体がそれぞれの基準で救助犬を作っていて、本当に現場で使える犬とハンドラーなのか不安に思える事が有る。

 良い救助犬の育成は、正しい試験レベルを基準とした正しい訓練理論と経験豊富な指導者が必要で、常に変化して進歩して居る事を意識していなければその時代に合った使える救助犬は作出出来ない。

 今回の世界大会に出場しMRTの評価員もさせてもらった中で強く感じた事だ。私は、IROの基準に則った高い国内基準を作って行けば、地震や自然災害の多い日本で、本当に役に立つ良い救助犬チームを沢山作って行けると強く感じた。

救助犬訓練士協会

理事長 村瀬英博

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