(RDTA)
                                                     救助犬訓練士協会
                                                     報告:大島かおり
                                                     平成18年7月24日
                       長野県岡谷市土砂災害出動報告 

■7月19日午前5時頃
長野県岡谷市湊地区2丁目に於いて記録的な大雨による土砂災害が発生。7人が行方不明となる。

・午前8時30分(雨)
RDTA事務局において会員脇田と副事務局長のラリーエバンス氏が自宅よりネットによる情報収集を始める。 認定犬指導手と事務局メンバーに情報収集を始めた事を連絡する。

・午後12時00分
会員坂本、松元がRDTA事務局に到着、脇田に変わり情報収集を始める。状況、周辺道路についてネットから収集する。

・午後12時30分
オーストリアから帰国した村瀬理事長との話し合いの結果、長野県富士見町の大島訓練所を待機場所に、先遣隊として 「大島&あかね」「松元&ジェニファー」「大谷&ブロウ」の3チームを派遣することに決定。「大谷&ブロウ」は自宅 から出発。

・午後3時00分
それぞれの準備を終え、大島、松元はRDTA事務所から出発。

・午後6時00分
長野県富士見町大島訓練所にて、合流。

・午後6時30分
「災害救助犬協会・長野」の木村氏がRDTA待機場所に来られ、岡谷警察からの詳細な情報を伺う。(現場ではあと 2名の不明者 そして協議の結果、救助犬窓口を木村氏に一本化し、いろいろな情報提供を約束してもらう。

・午後10時20分
再び木村氏から訪れ、現場を含む諏訪湖周辺の詳細な地図を頂く。

  

■7月20日(曇り)午前8時
横浜より会員の坂本ハンドラーが富士見待機所も到着。木村氏より連絡、まだ現場には入れる状態ではないが午後、 現場視察が可能になったとの連絡がはいる。

・午後2時00分
大島、松元と「災害救助犬協会・長野」の木村氏、山下氏とともに岡谷警察署に伺い、中島課長に現場の状況を伺う。 その後、岡谷市役所の設けられた「対策本部」に行き、挨拶と情報収集を行うが本部は混沌としている。その後木村 氏の案内で現場に向かう。現場脇の久保寺より中央高速から諏訪湖よりになっている土砂災害現場を見る。今日の明 け方1人発見され、残すところあと1名になっていた。

・午後7時00分
RDTA待機場所に木村氏と山下氏が見える。現場を考えて2次災害発生の危険性と、現状民間では現場に入れないこと、 また土石流は救助犬使用が難しいのではとの見解から、明日の午前中をもって一旦待機解除にする判断が決定された。 不明者の捜索が長引き、救助犬のニーズが出た場合、また出動することを約束した。

・午後10時00分
木村氏から連絡。状況が一転、岡谷警察からの依頼で「明日の午後、救助犬を投入した捜索を行いたい」とのことで 急遽明朝、岡谷市に向かうことに成った。

■7月21日(大雨)午前8時20分
中央高速「諏訪南インター」にて待ち合わせ。「救助犬訓練士協会」から、大島(あかね:ゴールデンレトリーバー)、 松元(ジェニファー:シェパード)、坂本(ピーチ:ボーダーコリー)、大谷(ブロウ:シェパード)、「災害救助犬 協会・長野」より木村夫妻(ゴールデンレトリーバー)、山下氏(甲斐犬)、奈良県から参加した前川氏(ベルジアン マリノワ)の総勢8名、7頭で待機場所の岡谷警察署に向かう。
岡谷警察署駐車場で待機中に署長さんと刑事課長さんより、現場周辺に昨夜からの雨で避難勧告の避難指示が出された ため、捜索が一旦中止となり再開の見通しが立たないとの説明を受けた。木村氏の計らいで待機場所をボランティアセ ンターが立ち上げられている市役所横の「カノラホール」の3階「第一会議室」に移す。
その後、現場では捜索再開前に土石流災害を探知するセンサーの設置が決定。明日取り付けが行われ、明後日より捜索 が再開される見通しとなった。本日は捜索の可能性無しということで一旦待機を解除、RDTAチームは富士見町の大島訓 練所に戻る。
その夜、大谷ハンドラーが一度神奈川に戻り、土曜の夜に再び富士見にくることになった。坂本、松元はこれで一旦 神奈川に戻る事になり、第2陣として「村瀬&まゆ」と「村山&オリーブ」が土曜日の夜、合流することとなった。

■7月22日(晴れ)午前8時20分
再び木村氏が情報提供のため富士見の待機場所に見える。明朝の捜索開始時間を約束して帰られる。

・午後12時20分
木村氏より連絡。明日からの捜索が本日の3時に変更になったとのこと、急ぎ「あかね」を連れて岡谷に向かう。 途中、大谷ハンドラーから長野に向かっているとの連絡が入る。

・午後1時50分
「カノラホール」3階第一会議室到着、新潟より「災害救助犬・新潟」のメンバー堀口夫妻(ラブラドール2頭)と ワカツキ氏(ラブラドールレトリーバー)3名が合流、打ち合わせの結果、木村氏を総リーダー、Aグループ堀口氏、 ワカツキ氏、山下氏とBグループ堀口氏、前川氏、大島の2チームに分かれる。いくつかの団体が協力した「災害救 助犬連合チーム」が講成される。

・午後2時20分
現場にむかう。

・午後3時30分
捜索箇所は中央道を堺に諏訪湖と反対側土石流の発生箇所からである。警察部隊、消防部隊、自衛隊部隊が集合する。
まず非難訓練を行う。捜索する場所に立ち、土石流発生探知センサーが反応したと仮定してサイレンを10秒間鳴らす。 10秒内に安全場所に移動出来ない場合はその箇所へ入って捜索を行わないことなどが言い渡された。
発生から4日目で、乾いたところも多くなっているが、現場中央に立つと足を取られ、とても10秒間では避難箇所まで移動 することが出来ない。救助犬捜索は、ハンドラーが現場脇を歩き犬だけを中に投入する事となった。
2班に別れ、現場を2分割しそれぞれ山側と諏訪湖側に向かって捜索を開始。Bグループは湖側に向かってまずは1頭目 「ラブラドール」が全体的に捜索を仕掛けるが、反対側の山方向へ意識が行く。堀口ハンドラーはそのまま山の捜索を 続行させたため、「あかね」が次に捜索に移る。その後、同じ場所をBグループリーダーの前川ハンドラーと(マリノア) が捜索する。それぞれ、決定的な反応ないが若干の反応があった箇所を数箇所「マーキング」をし、警察、消防の方に 委ねる。
Aグループはほとんど反応らしいものが無かったようである。前川氏は盛んに捜索にあたっている部隊の方々に昨日までの 状況の情報収集を行い、捜索方法を再構築する。
行方不明の方の最終確認位置から推測してBグループが捜索した箇所の可能性が高く、何度か代わる代わる犬を投入する ものの、ハンドラーが報告できるような反応には至らない。

・午後6時近く
救助犬部隊は捜索を終了

・午後6時半
全体の捜索終了を待って、現場から退去する。それぞれ活動に参加した方々と互いに挨拶を交わしながら、 「カノラホール」に戻った。 「カノラホール」駐車場には大谷ハンドラーが到着していた。
一同で反省会を開き、明朝の捜索開始時間と捜索箇所、そしてユニットを再講成する。まずは新潟と長野と奈良で 2チーム、RDTAで1チーム、合計3チームをそれぞれローテーションし、必ず現場を3回確認することとなった。 明日の総リーダーは「災害救助犬・長野」の山下氏、木村氏は後方支援にまわることになった。

・午後10時
大谷ハンドラーはそのまま「カノラホール」駐車場に宿泊、大島は村瀬、村山と合流するため富士見に戻る。

■7月23日(晴れ)午前12時30分
村瀬、村山が富士見に到着。

・午前3時
岡谷市カノラホールにむけ出発。

・午前3時50分
「カノラホール」到着。

・午前5時
新潟からのサポートメンバー4名を加え現場に向かう。

・午前6時
  現場待機

・午前6時30分
警察、消防、自衛隊集合。昨日の避難訓練を行う。捜索箇所は中央高速から諏訪湖よりの道路伝いのところ、昨日の 現場よりは土砂が少ない。3チームに別れそれぞれ一周する形で捜索が開始された。それぞれのチームに昨日同様、 警察、消防の方々が3名ずつサポートで付く。

・午前7時55分ごろ
RDTAチームは「マーキング」無し、新潟チームは排水溝近くで一箇所反応あり、この2チームは捜索を終了し、 待機する。

・午前8時10分ごろ
無線で長野・奈良チームから連絡が入る。新潟、長野チームにそれぞれ医師、獣医の方がハンドラーとして参加されて いた。人間の医師が欲しいと連絡だった。待機チームが移動する。前川氏らによって新潟チームが反応した場所から手 がかりになるものが発見されていた。新潟チームの堀口氏らによって確認される。警察が集まってくる。鑑識が呼ばれ る。現場ではいままでとは違った捜索形態となる。掘り起こした後の土を細かくチェックする。

救助犬はすべて待機となる。 ・午前10時30分ごろ
もう一度、手がかりが発見された周辺を新潟チーム、長野・奈良チームが確認する。確認を終え、現場から退去。

・午後12時30分
「カノラホール」に移動。反省会をおこなう。
「救助犬連合チーム」解散。

  

反省会の意見
・ 他のチームと合同で行うことが出来、いろいろ勉強ができた。
・ 勇み足にならず、他のチームと協調できたことで、出動に至るまでの手法も勉強になった。
・ 最初に発見場所付近で臭気を取ったのは人間であった。臭気の出方が犬の鼻に分かりにくい高い ところで感じられその
 後、犬と再投入したときに若干の反応があった。その時点でもう少し現場を探してみるべきだった。
・ 今回の成果はどの犬が発見したというようなものではなく、すべての犬が機能し、出動マネージメントが功を成 した結果で
 ある。このひとつの成功を次の救助犬出動マネージメントに繋げてゆくべきである。
・ 天災被害はなかなか手強い。犬にとってどこまで土や土砂が体積した場合人のにおいを嗅ぎ取れるのか今回も踏 まえて
 データを作成すべき。またいくつかの救助犬団体で総合ユニットを組んだ事は画期的だった。今後も「程よいネッ トワーク」を
 組みながら、意見交換や、合同練習などが出来れば良い
・ 天災現場はそれぞれパターンも様々であるが、色々な出動のデータを残す事で傾向というものが読み取れるよう になるの
 ではないか。それが救助犬の効率的な使用に繋がるはず。互いに協力しそのデータを集めてゆきたい。
・ 発見は、能力の高い救助犬、ハンドラー、サポートメンバー、リーダー、マネージメント、そして運もある。 今回の結果は皆の
 協力体制の賜物であり、一つの成果に繋がった事は幸運だった。

最後に
今回の出動に対して各団体に長野県警察本部より感謝状が送られました。

災害救助犬連合チーム
■災害救助犬協会・長野
■災害救助犬協会・奈良
■災害救助犬協会・新潟
■救助犬訓練士協会(RDTA)
村瀬英博(ノルマンVハウスシホ)・・まゆ
大島かおり(ベティーOFポップハマゴールデン)・・あかね
大谷久子(バックスVヨーコショーナンJP)・・ブロウ
坂本幸子(ピーチ)
松元律子(ジェニファー)
村山健太(ピリーナVハウスシホ)・・オリーブ          (順不同)

・後方支援
   ラリーエバンス
   山田道雄
   島津芳明
   村瀬洋子
   堤一美
   竹村浩美                          (順不同)

                                                  【文責・報告者名:大島かおり】


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