2006
第12回国際救助犬世界大会
 (6.19-6.25)  
      ワールドチャンピョンシップ参戦日記 in スイス

 国内予選会が4月22・23日 長野県富士見高原リゾートで開催され、合格上位3頭の 出場となるところ、1頭のみ(瓦礫部門)の合格になり、私大谷とジャーマン・シェパード3歳オス ブロウ(バックス)が 世界選手権に参加いたしました。 チームリーダーとして、島津芳明氏が同行してくださり、 6月14日出発 29日帰国の旅程で成田を後に、 まずはドイツ・フランクフルトに入り、後はキャンピングカーでの移動となりました。

■ 2006年6月14日(水) ドイツ到着

まずは生活用品の買出しをしてキャンプ場に向かい、人も犬も手足をのばし旅の疲れを癒し、明日からの予定を立ててひと時 異国の雰囲気を満喫し、いつまでも明るい夜を過ごしました。
     キャンピングカー     

■ 2006年6月15日(木)

 本日は、BRHチームのメンバーと練習。化学繊維会社だった所に案内いただき、たっぷり有意義な練習をさせていただき ました。暗く足場の悪い所、臭いの取りにくい所、くまなく良い反応で捜索し練習の成果が見受けられ、ブロウの体調は 万全です。 夜は練習に参加して下さった皆様と夕食をいただき、一年ぶりの再会に乾杯し友好を深め、 ドイツを楽しませていただきました。

( * BRH  ドイツ全域で活動をおこなうボランティア組織の事で、その中の救助犬チームの方々です。)

■ 2006年6月16日(金)

 本来今日スイス入りする予定でしたが、変更してオーストリアに向かい一泊し、スイスに入ることに致しました。 午前中にBRHの役員の方々がおみえになり、RDTAがBRHに加盟の手続きが行われ、会長エルムート・ハラー氏のサインが なされ決定いたしました。これから、益々RDTAの救助犬が充実していくことと思います。

 

昼過ぎに私たちは、オーストリアに向け出発しました。

■ 2006年6月17日(土)

 さあ、いよいよスイスに向かいます。 日中はジリジリ暑く、朝晩は晩秋のような涼しさ、毎年感じるヨーロッパです。 犬も湿気のなさにいきいきとしています。キャンプ場はサマーバケイションの人で賑わっていますし、 救助犬関係者も続々到着しています、益々ヨーロッパの夏を感じさせられます。

■ 2006年6月18日(日)

 大会メイン会場を下見です。着々と準備が進み各国を迎える支度が整ってきています。スイスアーミーが忙しく大会に向け 動いています。夕方には、大勢のオランダチームが入ってきてキャンプ場もにぎやかになりました。 総勢15人位の編成でしたが、日本もせめて6〜7人くらいのチームが作れるようになることを望みます。
 明日から、大会が始まります。ブロウが今回代表となり、世界でどれだけの作業ができるかはわかりませんが、楽しみに しています。しかし不安な事もあります。この犬は、一年半前の訓練中に右後ろ足に怪我をさせてしまい、大変な思いをさせて しまいました。

 服従を十分ほどするだけで痛みが出てしまい、階段も上れない状態が続き、大磯の山の中で自由運動のみの生活が一年間、 病院とリハビリの繰り返しでした。 この半年、やっと調整しながらではありますが作業できるようになりました。なんとか痛みがでないように毎日のマッサージが 欠かせませんが、ほふくの練習を十メートルほどすると、もう痛みが大きくでてしまい練習らしい練習はできていません でした。しかし、この子とのつながりのなかで短い時間の積み重ねでなんとか、痛みを出さずに、この日を迎えることが できました。

 ブロウはこの一年半もっと訓練したかったと思いますが、私自身にブレーキをかけ、負担がかからない程度 のものに押さえてきました。世界大会に出場するには、不満足ではありますが、初出場のブロウが世界の舞台で思う存分 楽しんで作業できるよう、ヘルプできたらと思っています。

■ 2006年6月19日(月)

 午後二時より、受付、身体検査が始まり、マイクロチップ、体温、リンパ腺、口腔、四肢、眼、耳、腰、丁寧にチェック していただき、第一関門はクリアです。
 キャンプ場に戻り服従の練習をしていると、雨、雷、風、ひょう、嵐のようです。慌てて車に戻りました。スイスでは毎日 夕方から雨が降ります、山間の気象なのでしょうか、でも今日は激しい降り方です。 夕食をしていると、オランダチームが来られ先ほどの嵐で受付テントが倒壊し、スロベニアの指導手が大きな鉄骨の下敷きに なりお亡くなりになった、と情報を下さいました。 大変な事態になってしまいました。体育館のような鉄骨組みのテントがなぜ・・・。

  明日からのスケジュールは勿論、事故原因解明、関係役員は騒然とし、大惨事です。事故処理でメイン会場付近は通行止めと の事、島津氏と私は情報収集しなければとキャンプ場のオーナーの車で途中まで行き、あとはひたすら歩いて向かいました。

 なんと数時間前身体検査を受けたあの大きなテントが・・・、見るも無残に吹き飛び破壊されています。犠牲者が他にもい るのではと、救助犬に捜索させたそうです。私たち日本は近くに行っていたので、緊急チームリーダー会議が夜八時から開 かれる事がわかり、ギリギリ出席できましたが、連絡がとれず事故も緊急会議がある事も知らないチームもありました。犠牲 者が出たスロベニアチームは、大会は続行して欲しいと言われ帰国されたそうです。会議では大会を続行するか中止するか ・・・、決定には至りません。翌朝までには結論が出されることとなりました。BRHはドイツで理事会が開かれ、団体として の方針を現場に伝え、現場ではどう考えるかを聞き、話し合いをもっていました。

 中止の決断は正しいと思います。続行することもまた意味深いことに思います。 救助犬とは、被災地の無残な光景の中でも人命救助をします。スロベニアの指導手が事故でお亡くなりになったという事で 今大会を終わりにしないためにも、続行するのであれば、本当に働ける犬と人を作ることを再確認し、レベルアップさせる ための大会であって欲しいと願い、キャンプ場で私たちは話し合い、更に救助犬の育成に深く携わっていく思いを新たにし ました。深夜一時になっていました。 スロベニアのお母さん指導手にご冥福をお祈り致します。

■ 2006年6月20日(火)

 大会続行の決定がなされました。 喪章をつけ黙祷し抽選会が開かれます、各団体、個人が、故人にご寄付をということで温かい気持ちがひとつになり、 RDTA・島津氏、私も追悼の気持ちをあらわさせていただきました。勿論プログラムにある催し事はすべて キャンセルです。

さて、私は112番を引きスケジュールが決まりました。 明日は公開練習です。作業がはじまります。

■ 2006年6月21日(水)

  BRHの公開練習を見学し、ブロウと私は公開練習に臨みました。持ち時間は十分です。 公開練習でもフードを使用することは認められません。 熟練のコーンが、パラソルに。 発砲は持来のくわえ上げの時と、帰りがけにそれぞれ一回。 今回のルールです。
夕食は、各BRHチームがホテルからキャンプ場滞在メンバーと合流し、追悼バーベキユー集会となり、私たちもご招待いただき 明日からの作業の健闘を誓い合いました。

■ 2006年6月22日(木)大会1日目!

 村瀬真平君とメイン会場で合流し瓦礫捜索会場に向かい現地で朝食にしました。 私に与えられた午後二時三十分の捜索時間帯の暑さを考えると、ブロウの能力を充分発揮し、良い作業ができるよう、 パートナーとしての役割を果たせるよう集中したいと思います。 早朝から作業が始まっていますが、スイス・アーミーの二頭以外合格がでません。 かなり難易度が高い現場だとは聞いていますが、ベテランペアーでも中止となるほどです。 どのような現場なのでしょうか。


 BRHメンバー全員がブロウの応援に来てくれています、ありがとう。 さあ 出番です、ブロウを捜索に出しました、瓦礫をどんどん進み、三十五秒ほどで吠えはじめました、一人目発見です ・・・。 しかし、今までに聞いたことのない吠え方です、足場のせいではなく何かストレスを感じているように思えます。申告し 犬の元へ行ってわかりました。私の目にも何処に被災者がいるのか分かりません、なるほど、臭い方が自信を持たせない ような不安をさそうものなのだろうと感じました。二人目、三人目ともはじまって五分以内で反応していますが、吠えら れません、最後まで二箇所のみにこだわり、鼻を入れていますが吠えるにいたりませんでした。

   

 審査員の講評後、審査員 のお二人よりあなたの犬は、五分以内で三人発見しているがどうして吠えられなかったのか、このような瓦礫を練習し た経験がないのか、とのことです。臭いが遠く薄く、経験の無い臭い方、自信を持って告知出来なかったのでしょう。 過酷な条件化での作業、短い時間で精度の高い仕事をする、高度な捜索を要求され課題を沢山いただきました。 ブロウは学習を積んでいけば要求される救助犬になることとおもいます。九頭の合格犬のうち、七頭がスイス、あとは ハンガリーとデンマークの犬です。大きな拍手を送ります。

■ 2006年6月23日(金)大会2日目!

 服従です。 困ったものです、ハイテンションです。安定した作業にするには、並大抵のことではありません。合格点はいただきまし たが、来年までには、改善したいと思っています。 夜、メイン会場に集まりスロベニアの選手の追悼ミサに、歩いて近くの教会にむかいました。教会の鐘が心に染み渡る音 色を奏でています。一時間程ご冥福をお祈りしました。

■ 2006年6月24日(土) 大会3日目!

 最後の熟練です。 十六時二十分より始まります。
まず、広域捜索の見学に向かいBRHの応援です、数人の作業をみて、メイン会場に戻り出場準備です。 なんとか、こなしましたが、興奮度を良いバランスにするよう考えます。

  


■ 2006年6月25日(日) 

本日で閉幕となります。

 瓦礫捜索は朝は八時前に終了です。その後、練習してよいとのことです、犬の不完全燃焼の解決のためにも学習させて いただくことに感謝いたします。どうしてあのような反応だったのか、良い学習に繋げていく機会を与えていただき深 くお礼申し上げます。合格犬を出したハンガリーとデンマークチームが熱心に練習や瓦礫に潜り研究していました。 救助犬に対する思いは同じだと感動しました。

  


 一年間の練習で得たもの、新たに課題となったもの、沢山の思いとともに帰国となります。 大惨事で始まり、チームとしての行動、危機管理、世界大会の本来の意味など、あらためて考えさせられた今大会でした。 最後にBRHの皆様、各国の救助犬に携わっておられる方々、キャンプ場のオーナーさん、皆々様にお世話になり深く 感謝し御礼申し上げます。

 ブロウのフアンになって下さった多く救助犬関係者、DOG LOVERS,キャンプ場の旅行者、皆様に可愛がって いただき、日本の犬、救助犬への認識に大きな役割が果たせたとブロウを褒めてあげたいと思います。君はまだ若い、 これからだね。ペアとして良いハーモニーがかもし出せるよう努力していきます。 また、同行してくださった島津氏には、二週間という長い間多大な面においてボランティアしていただき、ありがとう ございました。

益々、救助犬を充実させて行くことで、御礼のかたちにさせていただくことをお誓い申し上げ、黙祷し世界大会参戦日記 のペンをおきます。

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  【 報告 】   キンダーガーデンDOGS
             大谷 久子 & ブロウ(バックス)  


             大会の結果報告        


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